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2016/09/11 M-laboratory活動再開に寄せて〜笠井瑞丈インタビュー

2010年の活動停止後、2016年度活動を再開するM-laboratory。

7年の時を経ての再開。上村なおかのインタビューに続き、今回は参加メンバー笠井瑞丈と三浦宏之による対談。

お二人に「M-laboratory」について聞いてみました。

【1999年に活動を始めたM-laboratory。笠井さんは活動当初からの参加ではなく途中からメンバーに加入されますが、参加されたきっかけは?】

 

笠井:M-laboを始めてみたのは...新井薬師(にある劇場)ですね。さいさい(斉藤栄治)が吊るされていくやつ。あれはですね、サッカーW杯の日と重なっていたんです。

 

三浦:そう。よく覚えているね。

 

笠井:その公演のチラシを今津さん(今津雅晴)からもらって。丁度、トウキョウヒート02の前に今津さんとカナダツアーに行っていて、その時に「この後なにか公演ある?」と聞いたらM-laboのチラシをくれて。チラシに何とか計画って書いてあって(Heat Island Project)、なんの計画をしているんだろうこのグループは、という不思議な感じ。さらにチラシのさいさいがムカつく感じで。

 

三浦:ガン飛ばしてる感じですね(笑)。

 

笠井:そうそう、いい印象がない(笑)。やな感じだな、このグループは。でもまあ今津さんも出てるし、変な計画立てているし、観に行ってみようかと(笑)。

 

三浦:その後、お互いが出演する舞台があって、初めてミツ(笠井瑞丈)と一緒に飲んだ。その時にはもう「次出る?」って聞きました。で、ミツから即答で返ってきたのは「喋りはNGです。絶対喋りはNGです。」(笑)。でもまあ、喋りNGと聞いていたけど稽古初日から喋りを振り付けた。

でも、今よく喋るよね。作品で。

 

笠井:喋りは今でも苦手ですけど...(笑)。

【ではその「トウキョウヒート02」の次の作品となる「ジョニーは戦場へ行った(仮)」からメンバーに加入?】

 

笠井:正確に言うと加入はしていない!(一同笑)僕は常にゲストダンサーなんです!(笑)メンバーではなく、公演ごとに客演しているつもり。三浦さんサイドはメンバーと思っているかもしれないけど、僕サイドはメンバーと思っていない(笑)。

 

三浦:おそらく、そこは皆そうだと思うよ。僕はメンバーと思っているけどね(笑)。メンバーシップより個人の活動の方が強い。僕としてはそうあってほしい。

 

笠井:メンバーでもメンバーじゃなくても、どうでもいい。

 

三浦:片思いでいいんです。僕はメンバーだと思っている。それでいいんです。まあ、そう思うことで安心させて欲しいんだよね(笑)。本人たちはどう思っているかわからないけれど。M-laboって何なんだろうって皆が思ってる。

2003年 「ジョニーは戦場へ行った(仮)」 photo:Takashi Ito

​2010年 「停止。」 photo:Sakae Oguma

【M-laboratory、活動停止について】

 

笠井:三浦さんが停止なさったからね。停止したんだ。っていう感じ。

 

(それだけですか...?)

 

笠井:うん。

 

三浦:あんまりショッキングな出来事ではない。

 

笠井:公演数が多いカンパニーとかだと、もっとファミリー感とかあるのかもしれないけれど、M-laboの活動って1年に一回ぐらいだからね。停止と言われたら、停止かと。停止したってことは動くってことだからね。解散じゃなくて停止だから。

【停止の後、また動き出すと思っていた?】

 

笠井:まあ、そういう日がいつか来るのかなと。だから再開と聞いた時も、ああそうか、ぐらいの感じかな。

 

三浦:僕自身があまり意気込んでないからね(笑)。活動再開しようっていうのは、なんていうかカンパニーをやった方ががいいなと思って。以前は東京にはダンスカンパニーがいっぱいあったけれど、少なくなってるのかな。カンパニーっぽくやっている人達はいるけれど、毎回ダンサーが入れ替わってたりするし。この人たちと長い時間をかけて集団表現をするっていうこと、個人の表現じゃなくて集団表現をするっていう、そういう関わりって少なくなってきているのかもしれない。そういう流れと反対に行きたい、要するに時代の流れに逆行したい。M-laboを停止したのも、少しお客さんが入るようになって、賞をとったりしてなんとなくメジャーな感じになってきて、そうなると逆行したくなった。だから停止に向かった。停止している間にメンバーに個々の活動をして欲しかったのもある。で、この7年でそれぞれ活躍してきた彼らがM-laboを再開すると言った時「もういいやって」言うと思ったら、皆「する」と言ってくれた。

【再開しても前の10年と同じスタンスであることに変わりはない?】

 

笠井:そりゃ、そうでしょ。そういうスタンスでいられるのがいいんだと思う。

 

三浦:変わらないよね、そこは。なんかね、みんなそこまでそんな考えてない(笑)。個人的葛藤はそれぞれあると思うけど。

 

笠井:ただなんていうか、曖昧な関係性がいいんだと思う、M-laboは。これはすごく大事なこと。東京に来たら皆で集まって飲もうとか。三浦さんまたやり始めるよ、んじゃやろうかみたいな。ガッツリじゃない曖昧な感じ。だから皆仲がいい。だからそういう感じでいいんだと思う。もっとバンバンやってるといろんな問題があると思うけど、全てが曖昧。このグループあるのかな?ぐらいの曖昧さ。なんなんだろうみたいな。三浦さんがやると言った時だけ存在する。実在しているのか、していないのかわからないグループであるということがいいんだと思う。でもやる時は絶対に集まる。こういう関係性は、そういう風にやろうと思ってもなかなかできない。

 

三浦:まあ、メンバーの皆を拘束したくないからね。囲い込むのではなく、個人の活動を優先してほしい。好きな時に行って、好きな時に帰ってきて好きにして欲しい。僕も好きにしたい。個人の活動を拘束されたくない。自分にされたくないことは、他の人にもしない。だからまあ、曖昧な感じがいいのかもね。

【最後に。瑞丈さんの印象に残るこれまでのM-labo作品は?】

 

笠井:「廃憶の日々」。あれは作品としてよかった。

過酷な条件だったけれど(笑)。でも嫌なことは時間が経つといいことになる。だんだんいい思い出になっていく。当時は本当に嫌だったけれど(笑)。

アサヒアートスクエアでやったり、テルプシコールでやったりする時、三浦さんは発想が面白いよね、いつも。ただやる方は辛いけどね。本人は出ないからいいけど(笑)。これからも頑張ります。

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