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2016/12/28 M-laboratory活動再開に寄せて〜鈴木秀城インタビュー

2010年の活動停止後、2016年度活動を再開するM-laboratory。7年の時を経ての再開。

今回は参加メンバー鈴木秀城と三浦宏之による対談。お二人に「M-laboratory」について聞いてみました。

【鈴木さんがM-laboratoryに参加するきっかけを教えていただけますか?】

 

鈴木:きっかけはそうですね。もともと三浦さんとは、M-laboを三浦さんが立ち上げる前から共演したことがあって、その時からの付き合いなんですけども、その三浦さんが何かやるっていうんだったら是非ともやりたいなと思って、それで。というような感じだったと記憶してますけど、今はもうそんな風な感じですね。M-labo前からの知り合いではあるんですけどね。

 

三浦:一番ひょっとしたら古いかもしれない。秀ちゃん、M-laboの中で。恵里花さん(故・野和田恵里花氏)と出会った頃だから。丸ちゃん(丸山武彦)とも出会ってない。

 

鈴木:そうだと思う。丸ちゃんよりも前なんじゃないのかな。

 

三浦:やっさん(安原徹氏)と秀ちゃんみたいな感じだったんだよね。恵里花さんで。

 

(丸山さんよりも先に鈴木さんに出会っていたんですね。)

 

三浦:でまあ、今っちゃん(今津雅晴)とか丸ちゃんみたいに恵里花さんによって出会って、その後、M-laboを立ち上げて「Latest Heat」ぐらいからだよね。

 

鈴木:うん。そうね。なんだっけ、なんか不思議なところでもって撮影とかしたのをすごく覚えてるな。

 

三浦:ああ!東大。

 

鈴木:東大の方に割り込んで入って(笑)

 

三浦:東大駒場寮。変なピンクの部屋でチラシの撮影を。

 

鈴木:チラシの撮影とか、そんな風なとか自分のM-labo体験としてはあれが結構初期な。当時は髪の毛もあったりして(笑)。髪の毛を振り乱しながらやっていた印象があるんですけど(笑)。

 

三浦:そうそう。秀ちゃん髪の毛ボサボサな感じでね(笑)。

(それ以降作品への参加はコンスタントに?)

 

鈴木:いや、時々は抜けてはいますけど。

 

三浦:でも、大体コンスタントに出てたよね、秀ちゃん。

 

鈴木:そうかな。でも、結構関わってますね。

 

【当時のM-laboの印象は?】

 

鈴木:当時ですか?当時はとにかく少し怖いような印象が。怖いっていうか、硬派というか、そういう印象を自分では持ってますけどね。

 

三浦:いいですね。

 

(硬派な印象。それは他のメンバーのインタビューでは出てこなかった印象です。)

 

鈴木:そうですか?その硬派だなって印象は今でも変わらず持ってるんだけどね。

 

三浦:なるほど。

 

(今までインタビューさせてもらった中で初めての意見です。)

 

三浦:皆ね、今までの人は男臭いっていう、なんかそういう。

 

鈴木:もちろんそれはあるにしてもね。でも、案外男臭いって言っても、立ち上げとかは男でやったけども、結構早い段階から女の人が入ってたりとか、いろんな人がやってるから、中心の人が男同士でなんかわーっとやり合いながらで作ってるっていうのはあるにしても、あんまりそのそこだけじゃないんだよね。

【これまでの作品で一番印象に残っているものは?】

 

鈴木:どれも、どれもどれも、どれもどれも印象に残ってますけどもね。まあそれだったら、それだったらっていうのもおかしいけど、「停止。」っていうのがすごく自分の中では衝撃だったというか、「停止か!」みたいな。一番直近のM-labo体験としては、やっぱし強く残っていますね。

 

(ある日突然、「停止」と聞いた時はどう思われましたか?)

 

鈴木:その時は、受け流すような感じ(笑)。「あぁ、そうなんだ」って聞きましたけども、時間をかけてじわじわ効いてくるというか何というか。停止って聞いて、例えば何か、その先何があるかっていうのはわからないけど、時限爆弾みたいな(笑)。目の前でギリギリギリって回されて、カチッカチッって言い始めて、「カチッカチッって言ってるなぁ。」ぐらいの感じだったけど、それがカチッカチッ、「もうすぐ迫ってるんだ」みたいな感じで、後からだんだん気づいてくる。時間を区切るセンスというか感覚はあんまり自分にはなかった。なかったと言うか、区切ったから時間が進み始めるのか、それかそれに向かってカウントダウンしていくっていう時間もありますよね、生きてると。区切るっていうようなことは自分の中にない感覚、センスをいただいたから、受け流しつつも後々じわじわと感じつつ、みたいな感じですね。

 

(停止を宣言してから、アサヒアートスクエアでの「停止。」まではどのくらいの期間があったんですか?)

 

三浦:憶えてない。

 

鈴木:どれぐらいだろうね。

 

三浦:でも「停止。」で助成金をもらっているから、1年ぐらいは前だと思う。

 

(その1年という期間の間、徐々にタイマーが進んでる感じだったんですね。)

 

鈴木:実際停止してからまた期間おいて再開でしょ。なんかすごい重層になっている時間っていう。 

2010年 「停止。」 photo:Sakae Oguma

【活動を停止してから、再開までの時間は決められているわけではなく、いつになるかわからない状態が続いていたと思うのですが、再開を聞いた時はどのように感じられましたか?】

 

鈴木:言葉にすると緊張するっていう感じですね。緊張しましたね。今も緊張してますけどね(笑)。

 

三浦:でも、どの作品もそうだけど、始める時は緊張してますね。初期の頃は特に。大体、秀ちゃんなんて僕の舞台、ダンスとかで言ったら、先輩にあたるし。秀ちゃんが最初、恵里花さんの公演で皆が小作品を出すっていった時に、僕も当時パントマイムとかをかじってやっていて、秀ちゃんもパントマイムの人で、秀ちゃんが「三浦氏、ちょっと俺のやつ出て。」って言ってくれて。

 

鈴木:今思うとよく言ってるなそんなことって感じですごかったんですよ。僕はやってもらったんですよ。

 

三浦:秀ちゃんの振り付けで、僕が。なんかアトムみたいなやつだよね。

 

鈴木:そうそう、アトムパンツみたいな(笑)。

 

三浦:それで鼻血が出てきて、鼻血で床に絵を描いたりっていうのがあって面白かったんですよね。

 

(それはM-laboを始める前?)

 

鈴木:もう今は亡くなっちゃったけど野和田恵里花さんっていう方がいて、その方が中心になってやっていたダンスの渦みたいなのがいくつかありまして、その中の1つだったんだけど。そんな企画の中で出てもらったっていうことがありました。

 

(最初は鈴木さんの作品に三浦さんが参加されていたんですね。)

 

三浦:秀ちゃんの方が先輩だったんだよ。今でもそうですけど。だから、最初M-laboをやり始めて、秀ちゃんと一緒にやりたいなと思って。最初に誘った時はねすごく緊張した。

 

鈴木:なんで(笑)。

 

三浦:秀ちゃんに最初に声をかける時。憶えてないんだけど、でもその時はすごく緊張したのは覚えてる。何を言ったかはあんまり憶えてないんだけど。

 

(その時のことを鈴木さんは覚えていますか?)

 

鈴木:どんな風な言葉を言われたのかはわからないけども、三浦さんがやるんだったら出たいなっていうようなことを思っておりましたけどね。うん。

 

(お二人は長い付き合いになるのですね。)

 

三浦:秀ちゃんが一番長いですね。おそらく僕が25歳とかですね。大学卒業して1年、2年ぐらいで出会って、20年ぐらいですね。

 

鈴木:ぐるぐる巻きになったりとかもしてたもんね(笑)。

 

三浦:あー、そうそうそう!

 

鈴木:なんかどこだっけ?お寺みたいな感じのところだっけ?和風な感じの空間で。

 

三浦:銕仙会能楽堂っていうところで、それも恵里花さんだよね。

 

鈴木:そうだね。

 

三浦:ただ僕はなんかね、包帯みたいのでただぐるぐるぐるぐる巻かれていくだけなんだけど、あれはやっぱり25・26歳ぐらい。20年ぐらい前になりますね。

 

鈴木:昔話ばかりになってしましまいますけど(笑)。でもその辺から。

2006年「怪物園」 photo:Sakae Oguma

2008年「部屋のある穴​」 photo:Aki Takeda 

【来年2月のMoratorium endに向けてリハーサルも始まりましたが、リハーサルや本番に向けて何か感じる事、思う事がありますか?】

 

鈴木:できること、できないこと。変わっていく自分みたいなものも含めて、ずっと一緒にやりたいなと心構えています。プロフィールを皆どんなの書いているのかなって参考に見たんですけど(笑)。丸ちゃんのプロフィールに「できること、できないこと」みたいなことが書いてあったけど、確かにね。自分の事を思うと、そんな今の自分の状況が三浦さんの作品に入っていくみたいな。どうしたって。

 

三浦:秀ちゃんは結構M-laboの役割みたいっていうのはあれなんだけど、前の10年間の秀ちゃんの存在はね結構トリッキーな感じだったんですよ。今っちゃんとか、まるとかかねやん(兼盛雅幸)とかって、結構ストレートにいくんだけど、力で押したりとか。秀ちゃんはそこがね、シュルッっとこう抜けるっていうか、なんて言うのかな、僕が作る時に意図したところと違う所で存在をしてくるっていうのが、途中からはそこらへんの感じは秀ちゃんにお任せしていて。一番大変だったろうなと思うのが多分ね、秀ちゃん覚えてるかわかんないんだけど、「忘却都市」で結構真面目なシーン、ダンスから始まって一展開した後に、突然秀ちゃんがパンツ一丁でスキップして出てきて、お客さんに向かって「な?...な?」って言うの覚えてる(笑)?

 

鈴木:なんかあったね。

 

三浦:あれがね、自分で作っておきながら「僕は何がやりたいんだろう」って言うところにあって(笑)。秀ちゃんもどこに持っていくんだろうなっていうのはあって。なんかそういう感じで「忘却都市」ぐらいから秀ちゃんに「なんかここで言って」とかっていう感じでお任せすると色々料理してきてくれるんですよ。

 

鈴木:そうだったけっけ?(笑)

 

三浦:「サタデーナイトホストクラブ」の時なんて、人間椅子のシーンがあったじゃない。秀ちゃんが椅子を売る人。憶えてる?

 

鈴木:どんなんだっけ?椅子の中に入ってるやつ?

 

三浦:違う違う。椅子を売って...憶えてない?その時にね、なんかねそこで使う曲にナレーションみたいなのをすごい入れてきて。どんどんどんどんね、なんか作ってくれてたよね。

 

鈴木:そうだったっけ?(笑)

三浦:それとか「自転車操業」の時とか、お父さんというかおじいさん役。

 

鈴木:やってたね。

 

三浦:自転車屋の親父。

 

鈴木:「うわぇぇぇ!」って。

 

三浦:その時も自分の髪の毛、その時髪の毛まだあって(笑)。

 

鈴木:当時はまだあったから。(頭のてっぺんに円を書いて)ここ剃ったんだよね。

 

三浦:そこ剃って、波平さんみたいに横と後ろだけ残して。

 

鈴木:落ち武者みたいになっちゃって(笑)。

 

三浦:そんななんかね、勝手にっていうかどんどん勝手にやってくるんだよね(笑)。こっちではブレーキがかけられなくて。岩男雅美とさいさい(斉藤栄治)のお面みたいなのとか作ったりして、両手にお面をつけて喋ってりして。僕は何にもしてないのに。なんか秀ちゃんの説明ばっかりしちゃってる。

 

鈴木:得体が知れないですもんね。

 

三浦:得体が知れない。

 

鈴木:でも久しぶりにリハーサルに参加して話聞くと、三浦さんの方こそ得体が知れないよね、なんか(笑)。

 

三浦:そんなことないでしょ?(笑)まあ、なんかわけわかんないこと考えてますよね。自分でもわからないんですよね。わけがわからないことをわけがわかるようになりたいっていう。秀ちゃん...夜泣きじじい。

 

鈴木:夜泣きじじい(笑)。プロフィールの中に結局このセンテンスが出てきてしまいました。「夜泣きじじいです。」って(笑)。

 

(夜泣きじじいと呼ばれるきっかけは?)

 

鈴木:どの段階でそのネーミングになったか覚えてないんだけど...「怪物園」か。「怪物園」っていう作品、さいさいが作ったのかな?

 

三浦:さいさいが作ったね。

 

鈴木:その時に妖怪的な夜泣きじじいって。確か当日プログラムみたいなのを作った時に、なんか皆も変な異名みたいなものを持っていて。その中で自分も夜泣きじじいって書いたと。それで今回のM-laboサイトのプロフィールにも使わさせてもらいました(笑)。

(M-labo活動再開後も夜泣きじじいなんですね(笑)。)

 

鈴木:言っちゃいましたからね、自分でまた(笑)。忘れてる人は忘れてるかもしれないのに、わざわざ言っちゃいましたからね。初めて聞く人はなんだこれ?って感じで。

 

三浦:得体が知れないっていうのは面白いな。男としても。

【ここからまた始まっていきますが、鈴木さんにとってM-laboratoryとは?】

 

鈴木:体の中にはなんとなく感じはあるんだけど、それを言葉にするのは難しいね。(少し無言の後)ググッと入って、なんかこう突き抜けてはいるが、中にあるようなみたいなものがずっとここにある感じになってると。まるで古傷みたいになっちゃいますけどね。ずっと入ってるみたいな。初めは異物だったのに、自分の中のものと同化して、取っちゃうと大変なことになっちゃうかもしんないなみたいな。取りたいと思っているわけじゃないですよ(笑)。異物だったのにな、っていうっていうものですね。これ文字にできますか(笑)。

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