鯨井謙太郒「灰のオホカミ」岡山公演に寄せて〜
鯨井謙太郒×三浦宏之 対談
6月30日(土)、7月1日(日)「灰のオホカミ」岡山公演を前に岡山入りした鯨井謙太郒×三浦宏之による対談が行なわれました。公演を前に、予定時間を延長して語られた内容。本ページではその冒頭部分のみ掲載いたします。
三浦:2017年1月CORVUS(コルヴス)岡山公演以来の岡山再来、鯨井謙太郒君です。今回はソロ作品ということなんですけど、何故この作品を岡山で上演してもらうことになったかっていうと、僕自身は「灰のオホカミ」を見たことはないんですけど、みつ(笠井瑞丈)とか、なおかさん(上村なおか)とかから話は聞いていて、観たかったなと思っていたんです。今年度のM-laboratory・Works-Mの企画で何をやろうかいうことを考えた時に、一つは自分の作品をやろうというのがあって、もう一つをどうしようか?というところで、常に謙太郒の「灰のオホカミ」のことが頭につきまとっていたんですよ。そんな中、香帆(小暮香帆)のソロ「ユートピア」を東京に観に行った時にですね、会場に行く前に近くの施設でトイレに寄ったんです。そしたら隣に謙太郒が!(笑)。あれだけの人数の人がいる中で、あそこで会うっていうのが。
鯨井:六本木でね(笑)。
三浦:そう六本木のね、凄まじく都会的なトイレで偶然会って「何してんすか?」みたいな(笑)。「ああ、香帆、香帆」みたいな(笑)。その時は、何か恥ずかしくなって「じゃあ、また後で」みたいな感じだったんだけど。その時、会場までの道を歩きながら「やっぱり今年度の企画は謙太郒だ。」と思って。単純にそれだけだったんですけど。あとはまあ、僕が観れなかったものは、観たいと思ったら岡山でやって貰えればいいという考えもあるのでお願いした次第です。今回はありがとうございます。
鯨井:いやこちらこそ。
三浦:作品のことなんですけど、謙太郒はオイリュトミーから始めて、オイリュトミーをやっていく中で叡さん(笠井叡氏)のオイリュトミー公演への出演があって、そこを経てCORVUSという男性二人のユニット(鯨井謙太郒・定方まこと)を立ち上げた訳じゃない。CORVUSはオイリュトミーのユニットでいいのかな?
鯨井:そうですね。
三浦:そうだよね。そして、さらにCORVUSを経てソロを踊り始めた時に、なぜオイリュトミーでなくダンスと銘打って始めたのかな、っていうのを少し聞いてみたいと思います。
鯨井:えっと、どこから話せばいいのか...元々踊りとか身体に向かう始めにあったのは、僕の中ではオイリュトミーじゃなくてダンスでした。ダンスと呼んでいいのかあれですけど...でもオイリュトミーではなかったですね。でもなぜ、オイリュトミーの方向に進んだかと言うと、僕にとって踊り始める以前は身体と自分の在り方が離れているし、掴みきれていないし。希薄ではないんですけど、じゃあ「身体で動いてください」って言われた時って絶対動けなくて。自分のその時の本質は、どちらかというと言葉の側に自分の意識の方は重きがあって、どういう風に身体と結びつきを持つかっていう時にオイリュトミーっていう方向を選んだんです。